野田尚武税理士事務所
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2002年1月26日



税理士 野田昇宏
http://www.nodaj.com
noda-norihiro@nodaj.com


事業費(運営資金を考える)
――― キャッシュフロー経営の勧め ―――

 I はじめに


1. デフレ経済のなかで
 (1) 先進国初のデフレスパイラル経済の中で、ついに
 (2) 史上初の診療報酬本体引き下げ(−1.3%)が実施される。
 (3) 各医療機関は、支出減により収支差額を増加(医療経済実態調査速報より)
   させる、いわゆるリストラ策でこの時代を乗り切ろうとしている
 (4) しかし経費の節減や人件費の切り下げだけで乗り切れるのか?
 (5) 一体何を数値基準に経営をすればよいか?

2. キャッシュフロー経営とは
 (1) 企業は、いくら利益がでたか?だけでなく
 (2) いくら残ったか?いくら使えるか?を増やす時代。
 (3) そのために土地を売って借金を返済
 (4) 株を売って借金を返済
 (5) キャッシュにこだわる経営が求められている。(グローバルスタンダード)


 II 利益があっても金はない


1. 利益の分だけ通帳残高は増えているか?
 (1) 増えていかない
 (2) 何故か? 税金を払うから。借金を返すから。
 (3) それとも在庫が増えたから?売掛金が増えたから?


2. 赤字でも、事業が続けられるわけ
 (1) 資金を調達できれば大丈夫
 (2) 例えばなぜセールが流行るか?




 III キャッシュフローの計算


1. キャッシュフローを計算してみよう
(医療法人 甲の場合)
---------- 損益計算書 ----------
医業収入
薬品費等
人 件 費
役員報酬
経  費
  減価償却
利  益
6,000万
1,200万
1,200万
1,200万
1,200万
   400万
800万


貸借対照表
  前 期 当 期
薬品在庫 300万 200万


キャッシュフロー 
  =  (利 益 800万)+(減価償却費 400万)+(在庫削減 100万) 
  =   1300万

ポイントは減価償却費と在庫
 (1) 減価償却費は、資金流出のない経費。利益は減少させるが、資金は減少しない。
 (2) 在庫の削減は、支払いなくして経費を作れる。


2. キャッシュフローとは?
    
      =(利  益)+(減価償却費)+(在庫の削減)+(買掛金の増加)−(未収入金の増加)等

 * 在庫の増加,買掛金の減少はキャッシュフローを減らす。
 * 収入が急に増えると未収入金が増加しキャッシュフローが減少する。

    ポイント  キャッシュフロー改善の種は貸借対照表にあり!

 (1) キャッシュフローをよくするためには、損益計算書だけでなく貸借対照表に注目する
 (2) 貸借対照表のなかにキャッシュが眠っている。
 (3) 資産を減らすこと、負債を増やすことはいずれもキャッシュフローを大きくする。
 (4) 負債の増加は勿論望ましくないが、キャッシュフロ−が不足する場合はやむを得ない。
 (5) 資産を減らすことは、総資産の減少となり、各種分析値(自己資本比率、ROA等)を高めるのにも有効。


3. フリーキャッシュフローとは?

       = (キャッシュフロー)−(税 金)−(借入金の返済)  

 * 自由に使えるお金のこと

4. フリーキャッシュフローを計算してみよう
(医療法人 甲の場合)
---------- 損益計算書 ----------
医業収入
薬品費等
人 件 費
役員報酬
経  費
  減価償却
   利  益
  在庫削減
キャッシュフロー
税  金
借入返済
6,000万
1,200万
1,200万
1,200万
1,200万
   400万
   800万
   100万
1,300万
△ 220万
△ 600万



フリーキャッシュフロー  
 = (キャッシュフロー 1300万)−(税金 220万)−(借入返済 600万) 
 =  480万


 IV 適正なフリーキャッシュフロー(FCF)はどのくらいか

   フリーキャッシュフロー比率 = フリーキャッシュフロー/医業収入
                 =  480万/6000万
                 =   8%

FCF比率 評価 コメント
  2%以下 危 険 早急に改善が必要
  4%以下 要注意 今後の動向に注意
  6%以下 適 正 現状を維持する
 12%以下 安 全 新規設備投資も十分可能
 12%超 優良(?) オーバーキャッシュ(将来に備えを!)

(あくまで目安です)

 (1) 単年度で判断せずに継続的にそのトレンドで判断する。
 (2) 2%以下が長く続くと資金繰りが苦しくなる。
 (3) 4%以下は、これ以上下がらないように注意する。
 (4) 6%程度はいわゆる適正。
 (5) 10%越えればいわゆる優良だが、一概に高ければいいというものでもない。
   逆にいえば、将来への備え、(設備投資、修理、生命保険など)が不足していることも
   少なくない。 また従業員の給与を見直す必要はないか?要検討!
 (6) いずれにせよ、目標とするFCFを設定し、それを目指す。
 (7) 例えば節税と称して経費を使い、利益は0とし、税金を払わなくしても、
   FCFはたちまちマイナス。 結局資金繰りに苦しむ位ならむしろ、
 (8) 適正な利益を確保し、税金を払い、借入金を返済し、尚FCFが残るようにする
   ことこそ、目指すべき経営。
 (9) 医業収入によって適正なFCFの目安は決められる。
 (10) 規模に応じた最低必要FCFの目安がある。


 V いくらくらいの設備投資が可能か? 借入が可能か?


1. FCF比率が6%以上ある場合(医療法人甲)
       8%−6%=2%
       6000万×2%=120万/年


2. FCF比率が4%以下の場合
 (1) 収入の増加を前提に考える
 (2) 借り替えなどにより、月額返済額を増加させずに借入をする。


 VI 資金繰りが楽になるためにどのくらいの収入が必要か?


1.損益分岐点と収支分岐点
(医療法人 甲の場合)
---------- 損益計算書 ----------
 
医業収入
薬品費等
6,000万
1,200万




医業利益

人 件 費
役員報酬
経  費
減価償却


1,200万
1,200万
1,200万
400万

4,800万






(医業利益率80%)
固定費計

利  益

借入返済
  4,000万

800万

600万













  (但し、法人税率を40%とした。)


 VII 適正な人件費を考える


労働分配率 = 人件費/医療利益

      = (1200万+1200万)/4800万
      =  50%






区    分 労働分配率
無床医療法人 60%以内
医療法人 68%以内

                            (あくまで目安です)

      * 個人事業の場合は、人件費に院長自身の生活費相当額を加算して計算してみるとよい。


以上で終わりです。
このページは、2001年1月に行いました研修会の資料を元にWeb用に作成し直しました。


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